Race Report from Circuit

2022/10/03

第5戦 岡山国際サーキット:惜しくも総合王座は届かずも年間2勝でシルバークラス王者に – 2022 GT World Challenge Asia

OKAYAMA INTERNATIONAL CIRCUIT
September 23 [ FRI] – 25 [SUN]
Yogibo FERRARI 488 GT3 [GT3 class]
Naoki Yokomizo
Kiyoto Fujinami

Qualify : Race1=P.P Race2=9th
Race : Race1=WIN! Race2=6th

惜しくも総合王座は届かずも
年間2勝でシルバークラス王者に


Practice & Qualify

フリープラクティス/予選

2022 年、Yogibo Racing が挑戦したファナテックGT ワールドチャレンジ・アジア・パワード・バイ・AWS は、早くもシリーズ最終ラウンドを迎えた。第4ラウンドのSUGO ではレース1で見事優勝を飾り、横溝直輝のシリーズチャンピオンに向けて可能性を残して挑む最終ラウンドの舞台は、岡山国際サーキット。今回も海外チームにとっては未知のコースであり、タイトルのためにも是が非でも勝利を狙いたいレースだ。しかしそんな一戦を前に、Yogibo Racing が使用するフェラーリ488 GT3 EVO は、世界的なフェラーリの好結果を受け厳しい性能調整が課されることになり、さらにシルバーカテゴリーのドライバーふたりが乗り込むYogibo Racing にはウエイトも加算。パフォーマンスとしては厳しくなることが予想された。

そんな岡山でのレースウイークは、9月22 日(木)にスタートした。午前10 時30 分からのペイド・プラクティスは曇り空で始まり、Yogibo Racing は横溝、藤波清斗、さらに横溝と細かくピットインしながら調整を続けるが、やはりタイムが伸びない。午後2時からのペイド・プラクティス2は開始直後から雨が降り出し、なかなか思うようにセットアップも進まない。

明けて9月23 日(金)の走行2日目は午後0時からフリープラクティスが行われ、コンディションも好転していくが、Yogibo Racing の苦闘は続いた。8番手につけるも、トップからは1秒以上の差があり、午後3時30 分からのオフィシャルプラクティスも10番手。横溝、藤波の表情も暗いままだった。

しかし、セットアップでこの不利を補おうとセット変更にトライ。これが9月24 日(土)の予選で功を奏した。クオリファイ1に臨んだ横溝は、途中赤旗中断に阻まれるものの、チェッカーまでアタックを続けると、最後に1分29 秒042 までタイムアップ。前日までを大幅に上回るタイムで、見事クオリファイ1のポールポジションを獲得してみせた。

続くクオリファイ2ではプロドライバーたちがそろうなか、藤波も渾身のアタックをみせるが、やはりプロ同士の僅差の争いのなかでは性能調整とウエイトが響き、結果は1分29 秒237 で9番手。チャンピオン争いを繰り広げるライバルたち、特に同じ車両を使う#777 フェラーリも苦戦しており、スピードは「限界いっぱい」というもの。決勝も僅差が予想された。


Race1 Report

決勝レース1

しかし7周目、後方を走っていた#19 ランボルギーニがバックストレートでストップ。この処理のためにセーフティカーが導入され、横溝が築いたリードが霧散してしまう。ただ、事前にチームはセーフティカーについて対策を準備しており、さらに好都合なことに、横溝の背後にはGT4 クラスの車両が入っていた。13 周目のリスタート明け、横溝は後続をコントロールすると一気にスパート。2番手とのギャップを作ることに成功し、15 周を終えピットイン。藤波に交代した。

横溝が築いたマージンもあり、藤波はトップで戦列に復帰する。ただ、後続からは今季ここまで何度もYogibo Racing と戦い、そして勝利を奪い取っていった#777 フェラーリが戦術の妙を活かし2番手に上がってきた。しかも同様に性能調整を受けている車両だが、ウエイトの差、さらに相手はニュータイヤを履き強烈なペースで追い上げてくる。藤波はリードを守ろうと、渾身の走りで首位を守り続けていった。

チーム全員が1時間が過ぎるのを固唾を呑んで見守るなか、藤波は最後は1.225 秒差まで迫られながらも首位を死守。トップチェッカーを受け、YogiboRacing に嬉しい今季2勝目をもたらした。


Race2 Report

決勝レース2

嬉しい2勝目を遂げた翌日の9月25 日(日)。長いようで短い今季の最終戦となるレース2を迎えた。スタートドライバーを務めた藤波は、9番手から激しい1コーナーの争いに入っていくが、目の前で2台が接触した。GT3 オーバーオールのタイトル争いのライバルである#27 フェラーリ、#99 メルセデスが接触し、#27 フェラーリはスポンジバリアへ。この処理のためセーフティカーランとなったが、#27 フェラーリはラップダウンとなったほか、レース中には#99 メルセデスには100 秒ものペナルティストップが課せられた。

このまま、もしYogibo Racing が表彰台圏内でフィニッシュすることができれば、あわよくば横溝の総合チャンピオンの可能性もあるかもしれない……。チームは一縷の望みを繋ぐべく、藤波が16 周を走るとピットイン。横溝に交代した。

ただYogibo Racing はレース1を制しており、ピットイン時、15 秒間のサクセスペナルティストップが必要になった。ピットアウト後、横溝は追い上げをみせていくが、上位陣とのタイム差を見ると、やはりこの15 秒が大きくのしかかってくる。残念ながら他を圧倒するほどのペースはなく、最後は6位で終えることになった。15 秒が響くかたちとなったが、ノーミスでの戦いで最終戦を終え、チームは「やり切った」気持ちでシーズンを締めくくった。


Race Comment

レースコメント

芳賀美里 監督
MISATO HAGA
Twitter:@misato_SUPERGT

いつもレースが終わった直後は『勝ったんだ』という実感がないのですが、最終ラウンドのレース1はチャンピオン争いをあきらめない気持ちもあったので、狙いどおりに勝つことができて本当に良かったです。セーフティカーでリードを失ってしまいましたが、そうなったときのシミュレーションも事前にできていましたし、意識の共有もできていました。そういった準備もしっかりできていたので、勝てる手ごたえはありましたね。レース2では期待どおりの流れにはなりませんでしたが、毎戦ごとにチーム力が高まる手ごたえを感じていましたし、反省点を次に残さないようにしていました。一年を通してみると良いシーズンだったと思います。最終戦に予定されていたインドネシアがなくなり残念ですし、シリーズチャンピオンを狙っていたので悔しい気持ちはありますが、SNS 等を通じてファンの皆さんからたくさんの応援をいただいたことはYogibo Racing の大きな力になりました。今後も皆さんの期待を裏切らないように頑張っていきます。

横溝直輝 選手
NAOKI YOKOMIZO
Twitter:@NaokiYokomizo

金曜までは厳しい状況でしたが、レース1では優勝できて良かったです! チームがセットアップを換えてくれて予選で前に出られたのが繋がりました。セーフティカーについては、導入するまでには至らない状況ではないかと思いましたが、リスタートの決断でリードを守ることができました。レース2については15秒のストップも響きましたね。チャンスはあっただけに悔しいところではありますが、こういったかたちで一年レースを戦い、チャンピオン争いもできたことは嬉しく思います。自分たちでドラマを作って乗り越えて……のようなシーズンでした。最終戦については悔しいです。でも、シーズンを通じてみれば良いシーズンでした。Yogibo Racing に感謝していますし、来年もこの体制で戦うことができたらいいですね。

藤波清斗 選手
KIYOTO FUJINAMI
Twitter:@fujinamikiyoto

レース1リードを守り切れて本当に良かったです。途中は追い上げられましたが、30kg のウエイトがやはり効いていましたね。ロングランではブレーキなどがかなり厳しくなってきます。レース2は予選で前にはいけなかったのが悔しいところですが、レース序盤には混戦のなかでポジションを上げることができました。ただその後はペースがあまり良くなかったので、その点は心残りですね。とはいえ、いろいろなことがあったシーズンで最後までしっかり戦いきることができましたし、楽しい一年でした。これまで乗っていたクルマとは違うタイプのフェラーリをドライブすることができましたし、自分の力も、足りない部分も見えてきたと思います。いろいろな点を復習して、しっかりと考え来季も戦うことができればと思っています。


Information

GT3 オーバーオールでは3 位に
シルバークラスはチャンピオン獲得!

2022 年のGT ワールドチャレンジ・アジア・は、最終戦に予定されていたインドネシア戦がキャンセルとなったことから、この岡山ラウンドが『シーズンフィナーレ』と銘打たれた。最終的に、Yogibo Racing はGT3 シルバークラスチャンピオンを獲得。GT3 オーバーオールでは3位という結果となった。

Yogibo Racing 2022 年ランキング
GT3 シルバー:横溝直輝 チャンピオン(204pt)
藤波清斗 3 位(154pt)/密山祥吾 4 位(50pt)
GT3 ドライバーチャンピオンシップ:
横溝直輝 3位(112pt)/藤波清斗 4 位(88pt)
GT3 チームチャンピオンシップ:4位(112pt)


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