Race Report from Circuit

2022/07/21

第2戦 鈴鹿サーキット:ポールポジションからまさかの展開。ドラマチックな週末に – 2022 GT World Challenge Asia

SUZUKA CIRCUIT
July 15 [ FRI] – July 17 [SUN]
Yogibo FERRARI 488 GT3 [GT3 class]
Naoki Yokomizo
Kiyoto Fujinami

Qualify : Race1=1st Race2=9th
Race : Race1=Retired Race2=13th

ポールポジションからまさかの展開。
ドラマチックな週末に


Practice & Qualify

フリープラクティス/予選

2022年のファナテックGTワールドチャレンジ・アジア・パワード・バイ・AWSは、マレーシアのセパンで行われた5月の第1ラウンドから舞台を移し、いよいよ日本で行われる4戦の緒戦となる、鈴鹿サーキットでの第2ラウンドを迎えた。この4戦は『ジャパンカップ』として争われることから、日本からも強豪が多数参戦。より一段とシビアな戦いが求められることになるが、Yogibo Racingには今回から若き藤波清斗がチームに加わり、エース横溝直輝とコンビを組む。また、エンジニアリング体制も強化された。

緒戦ということもあり、第2ラウンドの走行は7月14日(木)の2回のペイド・プラクティスからスタートした。午前の走行では序盤こそドライだったが、午後には雨が降り出しウエットに転じた。そんななかセットアップを煮詰めていくが、ライバルたちも速い。午前は10番手、午後は8番手という順位につけた。

走行2日目となる7月15日(金)はフリープラクティスが行われ、セットアップは好転していくことになるが、クラッチトラブルが発生。この対処に追われつつ、藤波が2分02秒551をマークし、トップタイムを記録した。「悪くない感触」とドライバーふたりが口を揃えたように、一定の手ごたえを得て2日間の走行を締めくくった。この日は夕刻、SROモータースポーツ・グループ主催のパーティも行われ、来日したSROステファン・ラテル代表やシリーズを統括するベンジャミン・フラナソビッキ代表とも交流。Yogiboのシリーズへの貢献に感謝が示された。

7月16日(土)は朝から時折雨が混じるコンディションとなったが、午前9時22分にスタートした予選は曇り空。路面はいわゆるダンプコンディションとなった。まずはGT3の予選1回目、横溝がアタックを展開。3周目に2分01秒258を記録すると、最終的に破られることなく、Yogibo Racingは第1 ラウンドに続く2回目のポールポジションを獲得した。

続く予選2回目では、プロドライバーたちがひしめくなか藤波がアタックを展開。ただ、少しずつ気温も上がっていたコンディションの変化の影響か、3周目に2分01秒323を記録したものの、僅差のなか9番手とシングルポジションにつけることになった。

ここまではYogibo Racingにとって期待に近い展開。チームは午後の決勝レース1へ向け準備を進めた。


Race1 Report

決勝レース1

午後1時30 分から迎えた決勝レース1。午前中こそ雨は止んでいたものの、この日の鈴鹿サーキットには雨が舞い、路面はウエットコンディションに転じた。走れないレベルではないが、路面は非常にスリッピー。スタートドライバーを務めるのは横溝だが、周囲のライバルはブロンズドライバーたちでで、うまくリードを築き後半の藤波に繋げたいところだ。1周のフォーメーションラップの後切られたスタートで、横溝はポールポジションから1コーナーに入っていく。

しかし、横にはトラクションが良い#18ポルシェが並びサイド・バイ・サイドで2コーナーに入っていく。このギリギリの攻防のなかではわずかに接触があり、左のサイドミラーが破損してしまった。

2コーナー立ち上がりに向けて横溝は有利なインサイドを守り立ち上がっていくが、ここで#18ポルシェにリヤをヒットされ、濡れた路面の上で滑ってしまう。大きく姿勢を乱したYogibo Racingのフェラーリ488 GT3は、横溝と言えどコントロールすることはできず、イン側のタイヤバリアに激しくクラッシュ。大きな期待とともに挑んだレース1はまさかの幕切れとなってしまった。

幸いにして横溝に怪我はなかったが、YogiboRacingのフェラーリ488 GT3は大きなダメージを負い全損状態に。翌日のレース2に出るためには、車両交換など大きな作業を進めなければならない。芳賀美里監督は、「やろう!」と声をかけ、チームの意志を統一。翌日までの短い間に、全員が動きはじめた。


Race2 Report

決勝レース2

レース1のクラッシュから、芳賀監督をはじめとした首脳陣は、「レース2のグリッドに並ぶ」という強い意志とともに、さまざまな方面に手を尽くした結果、横溝が親しい前澤友作氏が所有するフェラーリを「借りる」ことができた。夜を徹した作業の末、カーボンブラックにロゴだけが乗る状態ながら、7月17日(日)の決勝に間に合わせることができた。

迎えた決勝レース2。この日は天候も回復し、夏の暑さが戻るなか、ドライコンディションでスタートした。車両交換を行ったことからシリーズの規定で、グリッドは予選順位の9番手ではなく16番手に降格。また、レース中に3分間のペナルティストップをこなさなければならなかった。また新しい車両は急遽使用したことから保険も効かず、クラッシュ時のリスクもあった。

しかしスタートドライバーを務めた藤波は、チームの頑張りに応えるべく序盤から追い上げをみせ、3周目には10番手に浮上する。ただ序盤からセーフティカーが続出。思うように追い上げができずにいた。チームは12周を終え、他車とともに藤波をピットに戻し作業を行うが、やはりペナルティもあり他車よりも3分ほど時間がかかってしまう。その後も横溝が追い上げたが、結果は12位となった。しかし危機を乗り越えたこと、そして速さを示したことは、今後に繋がるものとなった。


Race Comment

レースコメント

芳賀美里 監督
Twitter:@misato_SUPERGT

Yogibo Racingにとって第2ラウンドとなる鈴鹿でのレースでしたが、木曜〜金曜は第1ラウンドのマレーシアから、少し悪いところを引きずりながら入ったような週末でした。さまざまなトラブルを解消しながら、悪いところを模索し予選までに少しずつ解決し予選に臨みました。そこで横溝選手がポールポジションを獲ってくれたのはさすがでしたね。しかし、その後挑んだレース1でしたが、あんなアクシデントが起きてしまって。横溝選手に怪我がなかったのは良かったですが、そこからは『明日出ることに意義があります』と動き出しました。いろいろな方が協力してくれて、前澤友作さんからクルマをお借りして挑むことができましたが、迎えたレース2はセーフティカーも多い展開でしたね。ぶっつけ本番でしたが、無事に完走できて良かったです。今回はエンジニアの体制も良く、仕事の早さも感じましたし、このチームが勝てない要素を探す方が難しいくらいだと感じました。今回得られたチームの団結を活かして挑んでいきたいですね。

横溝直輝 選手
Twitter:@NaokiYokomizo

走り出しは厳しい状況でしたが、チームと一緒にマシンを作り上げていった結果、予選ではポールポジションが獲れるレベルまでクルマを進化させることができました。第1ラウンドと比べてもチーム力が上がったことを実感した週末でしたね。土曜のレース1ではクラッシュしてしまい、悔しい思いをしましたが、そこからは日曜朝まで、まさに激動の一日になりました。たくさんの方々にご協力いただき、日曜のレース2に出走できたことは感謝の気持ちしかありませんし、Yogibo Racingの底力のようなものを感じていただけたのではないかと思います。レースでは車両交換によるペナルティがありながらも、クルマは速かったですし、次戦の富士に向けても手ごたえを感じることができました。前向きなレース2になったと思います。

藤波清斗 選手
Twitter:@fujinamikiyoto

走り出しはあまりクルマのバランスが良くありませんでしたが、今回エンジニアを努めてくださった宮田雅史さんの考えで変えてもらったところ、劇的に良くなってきました。マレーシアは僕は出ていませんでしたが、苦しんでいたセットアップもやっと良い方向にいったようで、予選では横溝選手がポールポジションを獲ることができました。僕の予選で伸び悩んだのは、原因を突き止めなければなりません。レース1ではああいったことがありましたが、絶望的な状況からレース2に出場することができましたし、良いかたちで週末を終えることができました。今回得られたことを繋げ、次戦の富士ではYogibo Racingとして初めての表彰台、そして優勝をチームの皆さん、監督にプレゼントできるように頑張っていきたいと思っています。


Information

第2ラウンドからYogiboがシリーズのオフィシャルパートナーに

いよいよ日本での4戦がスタートしたGTワールドチャレンジ・アジア。鈴鹿大会からは、Yogibo がシリーズのオフィシャルパートナーを務めることになった。『ジャパンカップ』に参戦する全車両のナンバープレートにYogiboロゴが入れられるほか、ジャパンカップでの優勝者特別アーチ制作、ウイナーにはGTワールドチャレンジ・アジアのロゴと『WINNER』の文字が入るオリジナルYogiboが贈呈される。鈴鹿からオリジナルYogiboが表彰台に登場し大きな注目を集めたほか、7月15日にサーキットで行われたパーティでは、会場に用意されたYogiboをSRO首脳陣や他チームのライバルたちも堪能。会場には笑顔が生まれた。


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